購入よりお得?オフィス家具をレンタルするメリットとデメリット






1. はじめに|オフィス家具レンタルが注目される理由

近年、オフィス環境のあり方は大きく変化しています。特にリモートワークやフリーアドレス化の導入が進み、従来の「社員一人に一つの机と椅子を用意する」という固定的なオフィススタイルは見直されつつあります。

また、新しい事業を始めるスタートアップ企業や、短期間だけ事務所を構えるプロジェクト型の働き方も増えました。その中で課題となるのが「オフィス家具をどう揃えるか」という点です。

従来であれば、机や椅子、会議用テーブル、収納棚などを一式購入して揃えるのが一般的でした。しかし購入となると、初期費用が数十万から数百万円単位で必要になるケースも珍しくありません。さらに、数年後に移転やレイアウト変更が発生すると、購入した家具の処分や移設にコストがかかるのも悩みどころです。

そこで注目されているのが「オフィス家具レンタル」です。必要な期間だけ家具を借りられる仕組みで、初期投資を抑えつつ柔軟にオフィス環境を整えられるため、多くの企業に利用されるようになってきました。

本記事では、まずオフィス家具レンタルの基本的な仕組みを解説し、購入した場合との違いを整理していきます。


2. オフィス家具レンタルとは?仕組みとサービス内容

オフィス家具レンタルとは、企業がオフィスで使用する机や椅子、会議用テーブル、収納棚などを「購入せずに月額や年額の料金を支払って借りるサービス」を指します。

レンタルできる家具の種類

  • デスク・椅子:社員一人ひとりの作業スペースに必要不可欠。
  • 会議用テーブル・チェア:会議室や打ち合わせスペース用。
  • 収納家具:キャビネットや書庫、ロッカーなど。
  • 受付・応接用家具:ソファやカウンター、来客対応用のテーブルなど。
  • その他:パーテーションやホワイトボードなど、空間デザインに必要なアイテムも。

サービスによっては最新の人間工学に基づいたオフィスチェアや、デザイン性の高い家具を取り扱っている場合もあり、企業のブランドイメージ向上にもつながります。

利用期間と料金体系

オフィス家具レンタルは、短期利用から長期契約まで幅広く対応しています。

  • 短期レンタル:数週間~数か月。展示会や短期プロジェクトに便利。
  • 長期レンタル:1年~数年単位。スタートアップや移転前後のオフィス整備に最適。

料金体系は月額制が一般的で、契約期間が長いほど割安になる傾向があります。また、配送・設置・撤去まで一括対応してくれるサービスも多く、導入の手間を大幅に減らせるのも魅力です。


3. オフィス家具を購入する場合のメリット・デメリット

それでは、オフィス家具を「購入」する場合のメリットとデメリットを整理してみましょう。

購入のメリット

  1. 資産として所有できる
    一度購入すれば、その家具は自社の資産として扱えます。長期的に使用する前提であれば、レンタル料を払い続けるよりも結果的に安くなる可能性があります。
  2. 自由度が高い
    デザインやメーカーを自由に選べるため、こだわりのオフィス空間を作りやすいのが利点です。インテリア性を重視したい企業やブランディングを意識する企業には向いています。
  3. ランニングコストがかからない
    初期費用こそ高額ですが、その後の月額費用が不要なため、長期的に見るとコスト削減につながるケースもあります。

購入のデメリット

  1. 初期投資が大きい
    デスクや椅子を10名分揃えるだけでも数十万円規模の費用が必要になります。起業直後や資金繰りに余裕がない場合、大きな負担となります。
  2. 移転やレイアウト変更の負担
    購入した家具は自社で所有しているため、移転時には運搬・移設コストがかかります。不要になった場合の処分費用も無視できません。
  3. 陳腐化のリスク
    一度購入すると、壊れるまで使い続けることになりがちです。数年後にオフィスの雰囲気を刷新したい場合、既存家具が足かせになることもあります。

4. オフィス家具をレンタルする場合のメリット

オフィス家具レンタルの最大の魅力は「柔軟性」と「初期費用の安さ」です。具体的に見ていきましょう。

① 初期投資を抑えられる

購入の場合はデスク1台で2~5万円、オフィスチェアで3~10万円程度かかることも珍しくありません。10名規模でオフィスを整えようとすると数十万~100万円単位の出費になることも。
一方レンタルなら、月額数千円からスタートできるため、資金を他の運営費や広告費に回せます。スタートアップや新規事業立ち上げ時には大きなメリットです。

② 必要な期間だけ利用できる

短期プロジェクトや一時的な人員増加に合わせて必要な家具をレンタルできるのは大きな利点です。プロジェクト終了後には返却すればよく、不要な家具を倉庫に眠らせる必要もありません。

③ 移転やレイアウト変更に強い

レンタルサービスによっては、移転先への再設置やレイアウト変更に対応してくれる場合もあります。購入家具だと「動かすのも処分するのも大変」ですが、レンタルなら運営側が対応してくれるケースが多く、企業の負担を軽減します。

④ 最新モデルを使える

高機能チェアやデザイン性の高い家具は購入すると高額ですが、レンタルであれば比較的手軽に導入可能。常に最新モデルを利用できるため、社員の快適さやオフィスの印象を高めやすいのもメリットです。


5. レンタルのデメリット

もちろんレンタルにも注意点があります。購入と比べたときに「弱点」となりやすいポイントを整理してみましょう。

① 長期利用だと割高になる可能性

月額料金は低くても、数年単位で利用し続けると購入より高くつく場合があります。たとえば月額3,000円のオフィスチェアを5年レンタルすると18万円。購入なら10万円で済むものもあるため、長期利用前提の企業には不向きかもしれません。

② 自由度が限定される

サービスによっては取り扱い家具のラインナップが限られています。特定のメーカーやデザインにこだわりたい企業にとっては選択肢が狭く感じる場合もあるでしょう。

③ 契約条件に縛られることも

最低契約期間が設定されていたり、中途解約に違約金が発生するケースもあります。「数か月だけ借りたい」と思っても、サービスによっては柔軟に対応できない場合がある点に注意が必要です。

④ 所有できない

どれだけ長く使っても、自社の資産にはなりません。将来的に売却したり再利用したりする自由はなく、あくまで「借りているもの」という立場になります。


6. 購入とレンタルの比較シミュレーション

では実際に、オフィス家具を購入した場合とレンタルした場合でコストを比較してみましょう。

【ケース1:10名規模のオフィスを新規開設】

  • 購入の場合
    • デスク:2万円 × 10台 = 20万円
    • チェア:5万円 × 10脚 = 50万円
    • 会議テーブル+椅子:15万円
    • 収納家具:10万円
      合計:約95万円(初期費用一括)
  • レンタルの場合(例:月額7,000円/人 × 10名分)
    • 机・椅子一式+会議テーブル・収納込み
    • 月額7万円 × 12か月 = 84万円/年

この場合、1年以内の利用ならレンタルの方が安く済みます。しかし2年目以降は購入家具の方が割安になる計算です。

【ケース2:短期プロジェクトで半年間利用】

  • 購入の場合
    • 上記同様に95万円の初期費用
    • その後は処分費や保管コストが発生
  • レンタルの場合
    • 月額7万円 × 6か月 = 42万円

半年だけの利用なら圧倒的にレンタルの方が経済的で、しかも撤去や処分の手間もかかりません。

7. こんな企業におすすめ!レンタル向きのケース

オフィス家具レンタルはすべての企業に最適というわけではありません。しかし、特に効果を発揮するシーンや企業タイプがあります。代表的なケースを挙げてみましょう。

① スタートアップ・ベンチャー企業

創業したばかりの企業は、資金を「売上に直結する活動」に優先的に投資したいもの。広告費や人材採用費に資金を回しつつ、オフィス環境は必要最低限のコストで整える。そのような考え方に、家具レンタルは非常に相性が良いです。特にピボット(事業転換)が起こりやすい業界では「柔軟に家具を増減できる」点が大きなメリットとなります。

② プロジェクト単位の事業が多い企業

IT業界やイベント業界など、短期間で大人数が集まるプロジェクトを繰り返す企業にはレンタルが適しています。必要な期間だけ机や椅子を揃え、終われば返却すれば良い。倉庫や処分コストを気にする必要がなくなります。

③ 短期オフィスやサテライトオフィスの設置

地方拠点や期間限定のサテライトオフィスを設ける場合、家具を購入して持ち込むのは非効率。レンタルなら「契約期間だけ利用して撤去」できるため、機動的に拠点を運営できます。

④ 移転やリニューアルを検討中の企業

将来的にオフィス移転を予定している場合、購入家具を揃えると「引っ越しの際の運搬コストやレイアウト不一致」が問題になります。その点レンタルであれば移転時に返却し、新しいオフィスに合わせて再契約すればスムーズです。

⑤ デザイン性を重視したい企業

採用やブランディングの観点から「おしゃれなオフィス環境」を整えたい企業にもレンタルはおすすめ。最新デザインの家具やトレンドを反映したオフィスチェアを手軽に導入でき、来客や社員に良い印象を与えやすいです。


8. レンタル導入時に注意すべきポイント

レンタルサービスを導入する際は、メリットばかりに目を向けず「契約条件」や「サービス範囲」をよく確認することが重要です。失敗を避けるために押さえておきたいポイントを紹介します。

① 契約期間と料金体系の確認

「月額いくら」と表示されていても、最低利用期間が設定されていることがあります。半年以上の契約必須だったり、中途解約時に違約金が発生する場合もあるため、契約前に必ず確認しましょう。

② 配送・設置・撤去の費用

レンタル料金に配送や設置、撤去が含まれているかはサービスによって異なります。安いと思って契約したら、搬入費や撤去費で予算を超えるケースも。総額でいくらかかるのかを見積もり段階で明確にしておきましょう。

③ ラインナップと品質

「思ったより選べる家具が少ない」というのもよくある失敗例です。特にデザイン性やブランド家具にこだわりたい場合は、取り扱い商品や写真、レビューを必ずチェックしましょう。また、中古家具がレンタルに回されるケースもあるため、品質の基準を確認しておくことも大切です。

④ 保険や破損時の対応

社員が家具を誤って破損させてしまった場合の対応も重要なポイントです。修理費や弁償費用がどのように扱われるのか、補償サービスが付帯しているかを事前に確認しておきましょう。

⑤ 導入後のサポート体制

長期間利用する場合、椅子や机の不具合が出ることもあります。修理や交換に迅速に対応してもらえるか、サポート体制が整っているかを確認することで、安心して利用できます。


9. まとめ

オフィス家具レンタルは「購入よりもお得になるケース」と「購入した方が良いケース」の両方があります。

  • 短期利用や移転予定がある企業 → レンタルの方が断然便利
  • 長期利用でデザインやメーカーにこだわりたい企業 → 購入の方がコスト面で有利

このように、自社の利用シーンや期間を明確にした上で選択することが大切です。

特にスタートアップやプロジェクトベースの事業を展開する企業にとって、レンタルは「資金繰りの柔軟性」「オフィス運営の機動性」を高める強力な手段になります。逆に、数年単位で同じオフィスを運営し続ける安定期の企業では、購入した方が最終的なコスト削減につながるでしょう。

オフィスは社員の生産性やモチベーションに大きく影響します。家具の導入方法を「購入」と「レンタル」で比較し、最適なスタイルを選ぶことで、働きやすく無駄のないオフィスづくりが実現できます。




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